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かぜひいた!インフルエンザかな?と思ったら ~感冒時の対応と予防~

※この記事内のイラストは、千葉大学医学部附属病院みなみ棟3階のキャラクターです。

千葉大学医学部附属病院 小児科 吉田 未識 先生

はじめに

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症で、流行性感冒とも呼ばれます。 毎年冬に流行し、気道症状と高熱、だるさや関節の痛みなどの強い全身症状が特徴です。
おもに咳、くしゃみの時に、つばなどの飛抹とともに放出されたウイルスを気道に吸い込むことで感染(飛沫感染)し、2日程度の短い潜伏期を経て発症しますが、小児では、ウイルスが付着した患者やものを触った手で、自分の口や鼻を触ることでの感染(接触感染)も多いことがわかっています。

かぜ(感冒)という言葉は、多くの場合、ウイルスによる上気道炎と同じ意味で使われています。
かぜの原因ウイルスはさまざまで、一口にかぜといっても、ウイルスの種類によって流行時期や症状が異なります。数日から1週間程度で軽快することが多いものの、特に保育園などでは複数のウイルスが流行していることがあるため、少し症状が良くなって登園し、また別のウイルスによる新しいかぜをひいたのに、かぜが治らないとか長引いているという印象になってしまうことも多くあります。
ちなみに、子どもは1年間に5-7回はかぜをひくといわれています。

治療について

インフルエンザもかぜも、食事と水分をなるべくとって、保温と加湿をしっかりして、安静にすることが治療の主体となります。ぐったりしているときでなければ、湯冷めしない程度の入浴ならしてもかまいません。
食事については、解熱剤で一時的に解熱している間ならとれることも多いですし、経口補水液(OS-1ⓇやアクアライトⓇなど)やお味噌汁などだけでも、少しずつとれていれば脱水のリスクは低くなります。
加えて、インフルエンザについては、抗インフルエンザ薬による治療も可能です。発症48時間以内に抗インフルエンザ薬を使用すると、解熱までの期間が短くなり、症状自体も軽く済むことが期待できます。
かぜという診断にも関わらず、最初から抗生物質の処方を希望されるお父さんお母さんがいますが、かぜに対して抗生物質を使用する必要はありません。かぜの90%はウイルス感染症と言われており、抗生物質は、ウイルス感染症には効果がないからです。
むしろ、不要な抗生物質の投与により、その後細菌感染症(副鼻腔炎、中耳炎、肺炎など)を合併した場合に症状がわかりにくくなったり、原因細菌がわからなくなって診断や治療が遅れたり、下痢などの有害作用が出現したりする可能性があるので、なるべく使用しないことが望ましいのです。

ただし、ぐったりして寝てばかりいる、経口摂取ができないなど、全身状態の悪化がみられたり、発熱が長引くなどの場合には、細菌感染症の合併があるかもしれないので、医療機関を受診し、適切な処方を受けてください。
やむを得ず外出する時は、マスク着用による咳エチケットも忘れないようにしてください。

予防について

一般的なことですが、帰宅時の手洗いはもっとも効果的な気道感染症の予防法であり、日頃から行うくせをつけておくとよいでしょう。
その他、インフルエンザに関してはワクチンの予防接種が可能です。インフルエンザワクチンは、流行予測に基づいて毎年異なる数種類の株を混合して作られており、ワクチン株と流行株が一致した場合には、70%程度の発症予防効果があると言われています。

また、重症細菌感染症を予防するためには、インフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチンや肺炎球菌結合型ワクチンなどの予防接種をあらかじめ適切に行っておくことの方が、単なるかぜのときに抗生物質を投与することよりずっと大切です。
この機会に、お子さんの予防接種がスケジュール通りに進んでいるか、チェックしてみてください。

<2016年2月発行「ちばエコチル調査つうしんVol.8」より転載>

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