エコチル調査とは、子どもたちが健やかに成長できる地球環境を未来に残すため
環境省が2011年から実施している大規模調査です

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キット先生の豊かな心をはぐくむ子育て<第12回>
 「ちばエコチル調査つうしん Vol.17」(2020年9月発行)より一部改変して掲載>

子どもと一緒にマインドフルネス 「今、ここ」を大切に

新型コロナ感染症により暮らしが様々に変化した今、子どもたちはどんな不安を感じているのでしょうか?
不安とは、まだ起こってもいないあれこれを心配して出てくる感情です。不安に思うことで気をつけて過ごしますから、私たちが生き延びるのに大切な感情です。しっかり耳を傾け受け止めましょう。
でも、毎日、不安な気持ちばかりで過ごすと、心の健康に影響するでしょう。やる気がわかない、何も楽しめないという気持ちになるかもしれません。食欲がない、ぐっすり眠れないなど、体調にも影響するでしょう。
「今、ここ」を大切にすると心の健康を保つことができます。これは、マインドフルネスという方法で、心理だけではなく教育やビジネスの分野でも注目されています。どんな効果があるのでしょうか?
ストレスが減る、睡眠の質が向上する、落ち着く、集中力が増す、自尊感情が向上する、自分への思いやりが増す等々、各国の研究報告で様々な効果が明らかになっています。
また、脳画像を使った研究で分かったこととして、マインドフルネスを続けることで、学習や記憶能力などをつかさどる脳の部位の機能がアップしたという報告もあります。


マインドフルネスのトレーニングとして、ご家庭でゲームとして楽しみながらできる四つの方法を紹介します。

ゲーム1

「きいてきいて」 (楽しかったことを話す)

不安な気持ちでいっぱいなときは、不安なことをピックアップしてそれに注意を向けている状態です。
心地良い風の吹く晴れた午後においしいおやつを食べていても、昨日言われた嫌なことや、明日失敗するかもという心配ばかりに注意を向け、不安でいっぱいになっているとしたら、「今、ここ」にある風の心地良さや、陽の光の美しさを感じることはできないでしょう。
不安材料をなくすのはむずかしいかもしれませんが、それはひとまず傍らに置いて、楽しかったことをピックアップします。夕飯時などに、あなたからお子さんに、その日の楽しかったことを話しかけてみましょう。
日常の中のささいな話題が良いでしょう。きれいな花を見つけて幸せな気持ちになった、散歩している子犬に出会って心が和んだ、好きな歌を聞いた等々。楽しく幸せな気分になることに注意を向け話しましょう。
子どもたちが生活の中で楽しいことを見つけて、話してくれるよう励まします。

ゲーム2

「耳をすませば」 (音を聞く)

「今、ここ」に聞こえる音に気づき、言い合います。5分などと時間を決めタイマーをセットするなどして、その間静かに耳を傾けます。
外から聞こえる人の声、バイクの音、鳥のさえずり。あるいは、家の中の時計や冷蔵庫の音。さらには、自分の呼吸や心臓の音。
慣れてくると、それらの音を優しい気持ちで感じられるようになります。
優しい気持ちになるのがむずかしい場合、口もとをスマイルマークのようにして、笑顔を作ってみます。
余談になりますが、笑顔を作って課題に取り組むグループとそうしないで課題をするグループでは、前者のグループの成果がよかったというポジティブ心理学の実験結果があります。
気持ちは体のありようとつながるのでしょうね。

ゲーム3

「おたべ」 (五感を使って丁寧に食べる)

おやつのときにもマインドフルになる練習ができます。五感を働かせて、ていねいに食べるのです。
おやつのぶどうを例にとります。
まず、視覚。色や形をよく見て、言葉で表現します。
次に嗅覚。どんなにおいがしますか?
口に入れるまでしっかりと視覚と嗅覚を働かせます。
そして、触覚。指で一粒摘まみます。どんな感触でしょう ?
口に入れます。舌触りはどうですか ?
皮と実ではどう違いますか ?
それから、ひと口かんでみます。聴覚。口の中で音がしますか ?
のどのあたりでも、音がしますか ?
  最後に味覚。どんな味でしょう ?
 甘いでしょうか ?
 酸っぱいでしょうか ?
過去の出来事やこれから起こることにばかり気をとられていて、よく味わうことなく食事を終えていることは多いのではないでしょうか。
好きな色やにおいをたっぷり味わってマインドフルに食べましょう。優しい気持ちとともに感謝の気持ちがわいてくるでしょう。

ゲーム4

「おかげさま」 (感謝のワーク)

ぶどうをマインドフルに食べたあと、感謝のワークをやってみましょう。おいしいぶどうを食べられるのは誰のおかげでしょう ?
買ってきてくれた人、洗ってお皿に盛り、テーブルに出してくれた人に感謝します。
ぶどうをお店に並べてくれた人、産地から運んでくれた人、ぶどうを育ててくれた人。他にはどんな人がいるでしょう ?
感謝のワークは、自分がたくさんの人につながり、支えられていることへの気づきを促します。その気づきは、自分自身への優しさにもつながります。

「今、ここ」には色々なことがあります。いやなこともあるでしょう。でも、それらを否定したり批判したりせず、「いやな言葉だったなぁ」、「悲しいできごとだなぁ」、とありのまま受けとめます。
「今、ここ」にある楽しさや、支えてくれる人々の存在。それらに気づくことのできるマインドフルな自分を大切にしましょう。

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