エコチル調査とは、子どもたちが健やかに成長できる地球環境を未来に残すため
環境省が2011年から実施している大規模調査です

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キット先生の豊かな心をはぐくむ子育て<第17回>
 「ちばエコチル調査つうしん Vol.22」(2023年3月発行)より一部改変して掲載)

子どもの発達をサポートしたい

子どもの発達について保護者の方から相談を受ける時にいつも感じることがあります。子どもの発達の問題や状態はさまざまでも、親の願いは同じだということです。
「みんなと仲良くしてほしい」「自分らしく輝いてほしい」「自立してほしい」など、親は子どもが学校や社会でうまくやっていけることを願っています。

私は以前、オーストラリアで子育て支援の実践と研究をしていました。その支援は下の「前向き子育て5原則」に基づいています。

1 安心できると探検できる (安全に遊べる環境づくり)
2 注目して意欲を育てる (積極的に学べる環境づくり)
3 一貫していることの意義 (一貫したわかりやすいしつけ)
4 ピグマリオン効果 (適切な期待感をもつ)
5 ちょっとゆっくりする (親として自分を大切にする)

※「前向き子育て5原則」は、キット先生の豊かな心をはぐくむ子育て<第6回>で詳しく紹介しています。

障がいを持つ子どもの養育者を対象とした支援ではそれより一つ多く6原則になります。加えられたのは「地域社会とつながる」という原則です。
発達の問題が特有である場合、前向きな子育てはさらに難しくなるかもしれません。そんな時、地域の専門家、支援者、サポーターに特有の問題について相談でき、必要なサポートが得られるというつながりが大切になります。
子どもはみんなユニークな存在で、それぞれ異なる特性があります。どんな支援が必要かを理解し、それぞれができる援助をしていくことになります。

家族同士もつながって支援
「つながる」という原則は、家庭の中でも重要です。
オーストラリアのAさんは、2歳の時に自閉症スペクトラム症(ASD)と診断され、すぐに療育に通い始めました。そこで家族もどう対応するかを習い、両親は祖父母と共に習ったことを実践していきました。
Aさんは普通学級に通い、中学生となった今では「読解力が優れている」と褒めてもらっているそうです。
Aさんの周囲の皆さんは、障がいを前向きに捉えている印象を受けます。Aさんの写真にはいつもどこかにASD特有のこだわり行動や物(Aさんの場合はぬいぐるみ)が写っていますが、そういったこともAさんの個性として捉え、その場面の出来事を愛情あふれる表情で語ってくれます。

日本のBさんの場合は、ASDの診断を受けたのは小学校に入ってからでした。そのせいか、家族は診断を受け入れるのが難しいように見えました。
学校での学習は支援学級で個別対応を受けましたが、行事は普通学級のみんなと一緒に参加しました。
例えば、マラソン大会は本人にはつらかったようですが、家族の誰かが毎日一緒に走って練習し自信を育て、大会当日は完走することができました。
中学校も支援学級で学習しました。高校に行きたいという本人の願いを家族は援助し、地元の高校に入学して元気に通っているそうです。

どちらの家族も、子どもの個性や願いを支え子どもの発達を支援したことがわかります。ここで大切にされているのは、子どもとつながっている関係性です。
発達障がいの理解は難しいかもしれませんが、子どもの思いや願いは理解できます。その時々の困難に対し、具体的な解決方法を考えて実行していくこともできます。
「つながっている」という感覚は、生物学的に私たちの脳や神経が持っている可能性を発揮するための安心安全の基盤になります。(キット先生の豊かな心をはぐくむ子育て<第9回>)参照
また、子どもの発達だけでなく、支える大人の発達にもつながります。例えば、子育てのストレスレベルを下げる効果もあります。

子どもとつながるためにできること
今回は、「子どもとつながるスキル」三つをご紹介します。(子どもにとっても、身につけておくと社会に出た時に役立つスキルです)

❶名前を呼び挨拶する (挨拶スキル)
ある先生は、毎朝、生徒の名前を呼んで挨拶をして信頼関係を作っているそうです。
そうされると生徒たちは、「自分は気にかけてもらっている」と感じることができるのです。研究によれば、授業への集中力も上がったそうです。
まず名前を呼んでから「おはよう」「おかえり」「おやすみ」などと挨拶してみましょう。

❷言葉かけ (共感スキル)
子どもに対する言葉がけを毎日どれくらいしているでしょうか?
どんな言葉をかけているでしょうか?
その言葉は子どもとつながる働きをしているでしょうか?
子どもとつながるためには、子ども本人が「自分は受容されている」「ケアされている」と感じていることが必要です。
子育ての中では指示する言葉がけも必要ですが、子どもを受け止める言葉をたくさんかけたいものです。
「そうね」「そう思うんだ」「わかるよ」「それはうれしいね」「そんなのはいやだね」等々。簡単な言葉でも、つながる働きは充分にあります。

❸一緒に何かに取り組む
一緒に過ごす時間はつながる時間になります。一緒にできることを考えてみましょう。
例えば、本の読み聞かせはどうでしょうか。中高学年になっても、甘えたい気持ちが残っている子どもたちは読み聞かせをすると喜んでくれます。児童向け図書は近くの図書館で借りることができます。その子が興味をもちそうな本を選びましょう。
散歩やジョギング、キャッチボールといった体を動かす活動なら、体力づくりも兼ねられて良いですね。
一緒にできるゲームがあるかもしれませんし、課題によっては宿題をみてあげるのも良い活動になるでしょう。
無理のない範囲で何かに一緒に取り組めると、子どもとのつながりを深められると同時に、子育てのストレスを軽減できます。

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