エコチル調査とは、子どもたちが健やかに成長できる地球環境を未来に残すため
環境省が2011年から実施している大規模調査です

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キット先生の豊かな心をはぐくむ子育て<第7回>
 「ちばエコチル調査つうしん Vol.12」(2018年3月発行)より一部改変して掲載>

言葉の力を伸ばしたい 「言葉の発達を応援する関わり」

子どもの言葉は、周りの人との関係の中で発達するといわれます。
赤ちゃんのころ、まだ言葉を発するようになる前に、この言葉の発達に影響する人との関わりは始まっています。
たとえば、生後2か月頃、赤ちゃんは「んくー」などという音を発します。これに大人が話しかけると、赤ちゃんがその口元を見つめたり、口を動かそうとしたりします。
また、生後9か月頃、赤ちゃんの発声に合わせてそれをまねて返すと、赤ちゃんもまねて返してくる、というやり取りが見られます。このように、関わりが言葉の発達に大切であることがわかっています。 「環境と子どもの言葉の発達」(Hart & Risley,1995)という研究では、親子の関わりの影響を言葉の数量で示しました。
研究に参加したのは10か月すぎの乳幼児と保護者でした。2年半の間、研究スタッフは毎月1回1時間各家庭を訪問し、親子の関わりを観察しました。
満3歳時点で、子どもの語彙を比較し、3年間にどれくらいの言語を経験するかという計算をすると、Aグループは4千500万語、Bグループは2千600万語、Cグループは1千300万語となりました。 どういう親子の関わりが、この言葉の違いに影響したのでしょうか。
Aグループの親は、子どもに話しかけた回数とそれらの性質(前向きな言葉がけ、質問の仕方、など)が他のグループと違っていました。
この研究結果から考えると、言葉の発達を促すには三つのポイントがあるようです。

<ポイント1> 多く話しかける
子どもに話しかけることは、子どもに関わっているという実態を表します。子どもに関わろうという親の姿勢が、子どもに伝わります。
「片付けなさい」、「宿題しましたか」、という指示的な言葉よりも、「自分でできてえらいね」「困ったら教えてね」など、思いやりを表す言葉がけをしましょう。
いろいろな言葉だけでなく、人との関わりに大切な言葉を、子どもは学ぶことができます。

<ポイント2> 前向きな言葉がけをする
前向き、つまり、元気を与える言葉がけをします。子どもが落ち込んでしまうような辱め、脅し、傷つける言葉がけはしません。
激励する言葉のつもりで傷つける言葉を発してしまうことがあります。
「本人がやる気になればOK」とはいえません。自尊感情(ありのままの自分をよしとする感情)が損なわれてしまう心配があります。
自尊感情が低いと、交友関係や学習などの活動によい影響を与えないという研究結果があります。

<ポイント3> ハイ・イイエだけでは 答えられない質問をする
子どもに質問するときに、子どもの考えや気持ちを聞く形の質問をします。
そうすると、子どもは自分の考えや気持ちを探り(内言)、それを表現する(外言)ことになります。 内言(考えるときに使う言葉)と外言(コミュニケーションで使う言葉)という二つの言葉の発達とその繋がりを促します。

言葉の発達は、とても気になります。
言葉の発達が遅いと感じたら、いろいろな器官の発達が影響していること、一人ひとり発達過程がちがうこと、を理解することが大切です。
発音に関わる耳の聞こえ、構音(発音)の問題、意味の理解の問題、コミュニケーションの問題などが考えられますので、気になるなら、一人で悩まないで、近くにいる専門家(子育て支援機関、保健師や医師など)に相談してみましょう。そして、関わりの専門家である親として、できることを大切にしましょう。

子どもは、関わりの中で、言葉のやり取りの楽しさ、自分の言いたいことを受けとめてもらえる満足感や安心感を経験します。話そう、という意欲が高まります。これが言葉の発達の大切な過程なのです。
コミュニケーションの楽しさ、自分の思いや気持ちが伝わる満足感と自信、聞きたい・知りたいという興味・関心が、言葉の獲得を促していきます。
三つのポイントを大切にして、言葉の発達を応援しましょう。

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