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子どもの便秘で困ったら

国立病院機構 下志津病院 小児科医 鈴木 修一 先生


子どもの1日の排便回数は、乳児期は比較的多いですが3歳以降は1日1回前後に落ち着いてきます。

便秘のきっかけは、乳児期の母乳から人工乳への移行、幼児期のトイレットトレーニング、就学後の学校での排泄回避の3つがあり、幼児期が発症のピークといわれています。女児でやや多く、ご家族も便秘である傾向があるといわれています。

早めに対処することで就学以降の便秘を予防できます。

幼児期には、硬い便や太い便が出るときの痛みが強かったり、トイレットトレーニングでうまくいかず過度に叱られたりすると、排便後の快感よりも排便時の不快感が強く記憶され、便秘につながるといわれています。したがって、便秘の予防や治療では毎日軟らかい便が気持ちよく出るように心がけ、うまくいったら褒めてあげることが大切です。排便の状況をカレンダーにシールを貼るなどしていくとお子さんも喜ぶでしょう。
日常生活では、決まった時間に排便しやすくなるように生活のリズムを整え、バランスのとれた食事を目指すことが大切です。水分を多くとることの有効性は確かめられていないので、水分不足にならない程度でよいでしょう。また、体操や運動量と便秘の関係もはっきりしませんので、適度な運動を心がける程度でよいでしょう。


この他、食物繊維を積極的にとることで便通がよくなることは期待できます。水に溶けない食物繊維は便の水分量を増やす効果があります。水に溶ける食物繊維は、大腸で乳酸菌やビフィズス菌の増殖を促します。ヨーグルトにも乳酸菌が含まれており有効との報告もあります。

ただし、腸内細菌叢を改善するには十分ではないようです。また、ヨーグルトを含む乳製品の過剰な摂取は便秘の原因になることもあります。


下剤以外の薬には漢方薬があり、有効な場合があります。薬物治療によりおよそ半数のお子さんは6か月以内に規則正しい排便習慣が得られます。

薬を長期間使うことで効かなくなることや、やめられなくなることはありません。およそ2年以内に半数のお子さんが薬を中止できるようになります。しかし、再発が多いともいわれていますので、よい排便習慣を維持できるように工夫を続けましょう。


硬い便ではなく汁状のものが漏れる、排便時に強い痛みを訴える、肛門から出血する、排便時に足を交叉させ我慢姿勢をとるなどがある場合は、便秘の状態としては黄色信号です。

早めに医療機関を受診し相談しましょう。

 

※腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)
「腸内フローラ」とも呼ばれる、腸内に生息している多種多様な細菌の集まり。


<2016年2月発行「ちばエコチル調査つうしんVol.8」より転載>

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