千葉大学予防医学センター

研究内容

山田養蜂場・環境予防医学寄附研究部門Department of Environmental Preventive Medicine (Yamada Bee Company, Inc.)

環境汚染物質(PCB類、ネオニコチノイドなどの農薬、PFOA、PFOSなど世界的に汚染が問題となっている物質など)への曝露と小児疾患との関係についての研究

先端的な計測機器・計測技術を導入し、ネオニコチノイド系農薬を始めとする生体試料中に残留している化学物質の網羅分析法を確立する。

腸内細菌叢を対象にした小児の健康影響研究(食事による腸内細菌への影響も含む)

出生コホート「ちば子ども調査」(C-MACH)では小児の腸内細菌叢を経時的に調べている。現在は3歳半時点における腸内細菌叢の解析を計画している。

臍帯・臍帯血のテロメア長の変化による小児疾患バイオマーカー研究

染色体の末端にあるテロメアと呼ばれるゲノム配列は、ヒトでは(TTAGGG)の繰り返し配列であり、2.5-15kbpからなる。体細胞では細胞分裂をするたびにテロメアの長さが短縮し、細胞は老化し増殖しなくなる。一方で生殖細胞や幹細胞、がん細胞ではテロメアーゼの働きによりテロメアは伸長し、細胞は増殖する。C-MACHでは臍帯組織を冷蔵・冷凍保存している。臍帯組織から抽出したDNAより、臍帯テロメア長の測定を行った。胎児期曝露が神経発達や肥満に影響することが懸念されている物質であるPolychlorinated biphenyls (PCBs) とテロメア長に関連があった。

細胞分裂と細胞老化・不死化
細胞分裂と細胞老化・不死化

臍帯のDNAメチル化変化による小児疾患バイオマーカー研究

遺伝子の発現を調節する機構には様々なものがあるが、その中の一つにDNAのメチル化修飾がある。DNAメチル化とはDNAを構成する塩基であるシトシンにメチル基が付与されることである。DNAメチル化は組織ごとに異なり、環境の影響を受けることが知られている。胎児期環境がDNAメチル化を変化させ、様々な疾患のリスクに関与していることが想定されている。現在までに妊娠中の母体栄養状態を関連するDNAメチル化部位を複数検出している。

人工知能AIを用いた出生コホート・データ解析による小児疾患発症予想研究

質問紙・バイオマーカー測定により得られたデータおよび、診断・検診データを組み合わせ、出生時体格や肥満、発達の度合いなど、将来的に児の疾患に繋がりうる指標を予測可能なモデルを検討している。バイオマーカー・化学物質測定により得られるデータは多変量データであるため、既存の統計解析に加え、人工知能の基盤技術である機械学習を組み合わせ、マーカー探索を迅速化する。

メンバー

特任教授 坂部 貢
特任助教 金野 友紀

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