環境健康学

環境健康学 Sustainable Health Science

環境健康学分野では複数のコホート調査を行なっています。人の健康にはその人自身の体質(遺伝因子)と生活習慣や生活環境(環境因子)が複雑に関わっています。これらの影響はまだ十分には解明されておらず、盛んに研究が進められています。環境の人への影響を調べるためにはある一時点のみを対象とする研究では十分ではないため、経時的に環境とその人の健康の状態を観察していく必要があります。このような視点からコホート調査が行われています。特に心身の発達過程にある子どもは環境の影響を受けやすいため、近年の環境の変化が健康に及ぼす影響について国内外で関心がもたれています。また、近年では胎児期や出生早期の環境が成人後の疾患に影響するという「Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD)」説や人の一生を全体として考える「ライフコース医学」が提唱されており、生まれる前の胎児期から一生を通じて環境と健康を考えるようになってきました。

このような背景のもと、環境健康学分野では2つの出生コホート研究を行なっています。また、環境因子の中でも特に環境化学物質に着目し、生体内の有機汚染物質や重金属濃度の測定を行なっています。個人個人の環境汚染物質への曝露状況を把握し、子どもたちの成長段階ごとに健康との関連を調べています。

 

エコチル調査:

千葉大学予防医学センターは環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の千葉ユニットセンターとして千葉県内の調査を行なっています。千葉県では約6000組のお子さんとご両親が参加されており、妊娠中から調査を行っています。現在までに、千葉ユニットセンターとして母体血中マンガン濃度と新生児の体格との関連(link)などを報告しています。

こども調査(Chiba study of Mother and Child Health: C-MACH):

C-MACHは千葉大学独自の出生コホート調査です。2014年に開始され、千葉県と埼玉県の医療機関のご協力のもと妊婦さんの参加登録を行いました。約400組のお子さんとご両親に参加していただき、調査を継続しています。C-MACHでは血液、尿などの様々な生体試料を採取・保管しており、他の研究機関と共同研究しながら解析を進めています。共同研究機関は、国内では早稲田大学、東京大学、女子栄養大学、新潟薬科大学、海外ではMassachusetts General Hospital(アメリカ)、台湾大学(台湾)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(アメリカ)などです。

コロナ後の子どもの生活と健康に関する調査:

新型コロナウィルス感染症が拡大した後、子どもたちの生活習慣は大きく変わり、心身への影響が懸念されています。そこで、子どもたちの生活習慣と健康状態との関わりを調べるため、千葉大学教育学部附属小学校の全学年の児童を対象とした調査が2020年12月に始まりました。355人のお子さんに参加していただき、質問票調査、活動量測定のほか、体格、骨密度の測定と血液検査などを定期的に行っています。

 

分析化学:

質量分析計を利用し、コホート調査により得られた試料中に残留する、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などの環境化学物質の測定を行っています。測定した化学物質の濃度と参加者の健康指標の関係を解析し、健康指標に影響を及ぼしうる物質の特定を試みています。

また、近年では生体内中の生理活性物質の網羅分析にも挑戦しており、化学物質の曝露と生体内における代謝の変化との関係解析にも取り組んでします。これにより、これまでブラックボックスであった、化学物質の曝露と影響発現の間で何が起きているのかを解明するための糸口が得られると考えています。

 

メンバー

教授 森 千里
助教 江口 哲史
助教 山本 緑
助教 久田 文
特任助教 高谷 里依子
特任研究員 川波 亜紀子
特任研究員 渡邉 応宏
特任教授 羽田 明
特任教授 下条 直樹
特任教授 戸井田 敏彦

大学院生

津村佳余 (博士 3年)
大越幸太 (博士 1年)
上村朋子 (博士 1年)
成田正見 (博士 1年)
岩山遼太郎(博士 1年)

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